矯正治療を受けていると、矯正装置に食べカスやプラークがつきやすくなります。 しかも、多くの場合複雑な矯正装置がついているために、そうでない方と比べると格段に歯磨きが難しくなります。 それだけでなく普通なら早期発見・早期治療できそうな初期虫歯も見つけにくくなります。 もし、矯正治療中に虫歯が生じたらどうすればいいのでしょうか。 今回は、矯正治療中に生じた虫歯について。。
矯正治療中に虫歯が生じたら
矯正治療を受けているときに、虫歯が生じたら矯正治療はどうなるのでしょうか。 答えは、矯正治療の前に虫歯治療を優先します。
虫歯治療の日数
小さな虫歯でしたら、コンポジットレジンという白色のプラスチック製の詰め物を利用することで1日で治せます。 少し大きくなれば、金属やセラミックなどの詰め物治療になり、歯型をとる必要が生じ、数回の通院が必要になります。 さらに大きな虫歯になったら、根の治療をしてから被せものを用いて治すため、5回以上通院しなくてはなりません。 矯正治療の最中に虫歯が発生すると、矯正治療のスケジュールが大きく乱れるのはこのためです。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正で歯の表面に複雑な矯正装置がついていると、虫歯の発生した場所によっては、虫歯治療をしようとしても矯正装置が邪魔になって虫歯治療ができないと言うこともあります。 このようなときは、矯正装置を取り外して、虫歯治療を行います。 そして、虫歯治療が終わったのちに矯正装置を再びつけて、矯正治療を再開すると言う流れになります。 虫歯治療で矯正治療が中断するだけでなく、新たに矯正装置を付け直さなくてはならないので、治療のスケジュールは延びてしまいます。
マウスピース矯正
取り外し可能なマウスピースを使った矯正治療では、マウスピースを外せますから虫歯治療をしてもあまり影響しないように思われます。 ところが、虫歯治療を受けた結果、歯の形が変わってしまうとマウスピースがフィットしなくなることがあります。 マウスピースの形がフィットしなくなれば、マウスピースを新たに作り直さなくてはなりません。やはり、矯正治療のスケジュールに大きな影響が出ます。
矯正治療中に虫歯にならないために
矯正治療中に虫歯にならないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
歯ブラシの工夫
普通の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシを使うことをおすすめします。 理由としては、矯正治療中、普通の歯ブラシだけを使って歯をきれいにするのは困難だからです。歯間ブラシを用いて矯正装置と歯の間をきれいにすることができます。タフトブラシも毛先が円柱状になっているコンパクトな歯ブラシとなっており同様の理由で綺麗にすることができます。 ただ外出時などの場合、歯間ブラシを持ち運ぶのは大変なので、普通の歯ブラシでもヘッドがコンパクトなタイプを選ぶと磨きやすくはなります。
ブラッシングの工夫
虫歯予防の基本は、食後の歯磨きです。これは矯正治療をしていても同じです。 矯正装置がつくと食べ物が挟まりやすいだけでなく、歯磨き自体も難しくなります。 そこで、ブラッシングの方法も工夫しましょう。 ①鉛筆を持つように普通の歯ブラシを持つ ②普通の歯ブラシを細かく動かすようにして歯全体を大まかに磨く ③矯正装置の隙間など細かなところを歯間ブラシやワンタフトブラシで磨く このような感じで磨いてみてください。 力を入れすぎると、矯正装置が外れてしまう可能性があるので、力の入れ過ぎにご注意ください。
フッ素を使う
虫歯予防というとフッ素がイメージされるように、フッ素の虫歯予防効果はとても高いです。 矯正治療中もフッ素を使っていただくことで、高い虫歯予防効果を得ることができます。 フッ素の使い方はいろいろありますが、最も身近なのが、フッ素入り歯磨き粉を使った歯磨きです。 特におすすめなのが、1450ppmという高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使った歯磨きです。従来のフッ素濃度950ppmの歯磨き粉よりも虫歯予防効果が大幅に高くなっています。 次におすすめなのが、フッ素の洗口液です。 製品によって違いますが、1週間に1回、もしくは1日1回歯磨きの後にお口に含んでいただくことで、フッ素をお口全体に浸透させます。 また、年に数回でいいのですが、歯科医院で歯にフッ素を塗ってもらうのもおすすめです。 歯のフッ素塗布は、歯にフッ素を染み込ませる効果が最も高いと言われており、虫歯予防にとても効果的です。 このようにフッ素の使い方は3種類あり、どれもが高い虫歯予防効果を示していますので、是非ご利用ください。
歯のクリーニング
矯正装置がついていなくても、どうしても磨ききれない場所はあるものですし、歯ブラシでは取れない歯石もついてきます。 そこで、定期的に歯科医院で歯のクリーニングを受けるようにしましょう。 定期的な歯のクリーニングを受けることで、虫歯の原因となるプラークを取り除くと同時に、プラークが付着する温床を取り除くことができます。
食生活の改善
食生活を見直すことも虫歯予防のひとつです。 甘いものが虫歯のリスクを高めることはご存じかと思います。 また、不規則な食生活や、ダラダラと時間をかけて食べる習慣も虫歯のリスクを高めます。 矯正治療中に限らず、規則正しい食生活や間食を控えること、これらも虫歯予防でとても重要です。
まとめ
今回は、矯正治療中の虫歯についてお話ししました。 矯正治療の途中で虫歯になった場合、矯正治療は一旦中断し、虫歯治療を優先的に行います。 矯正治療は、長期に及ぶこともあり、治療中は虫歯のリスクとは無縁ではいられません。 矯正治療中に虫歯が発生すれば、それだけ矯正治療のスケジュールが乱れてしまいます。そこで、歯ブラシや歯磨き方法を工夫したり、フッ素を使うなどして、虫歯を予防しましょう。