口を大きく開けて笑顔を見せることや、ハグやキスが日常的にあいさつとして行うアメリカ。
国を挙げての一大プロジェクトとして予防歯科を義務付いているスウェーデン。
「ファーストキスは素敵な口もとで」と幼少期から矯正を開始するフランス。
ひとりひとりの美意識の高い、おとなり韓国。
これらどの国でも歯が美しいことがステータス。
笑顔から見える歯並びが美しいことが、男女ともに魅力的であるともいわれています。
対して、日本はどうでしょうか?今回は世界の歯列矯正事情をみていきましょう。
そもそも外国人が歯並びにこだわる理由
海外では、歯列矯正をきちんとしていない人は、ビジネスや恋愛でも不利になるというエピソードをよく耳にします。「歯並びの悪い人=メンテナンスができない人、清潔感のない人」「噛み合わせが悪いと、発音が悪くなる、姿勢が悪くなる、集中力が低下する等の生活のさまざまなところで支障をきたす」、という考えがあり敬遠されてしまうのです。
そのため、仕事をバリバリとこなせる方を採用する際には、やはり歯列矯正がきちんとされている方の方が印象がいいのです。海外では就職のことも考えて、子供の頃から小児矯正を行う人が多い傾向にあります。「勉強ができるように」「スポーツが頑張れるように」という親心が浸透している証拠かもしれません。
健康保険制度の充実が仇に?
日本人は虫歯などのトラブルが起きてから歯医者さんに行きますが、海外ではトラブル予防のために歯医者さんへ行くということが珍しくありません。
というのも日本は気軽に歯医者さんで治療を受けられる健康保険制度がありますが、海外では健康保険制度などがないため全額負担で治療をすることになります。そのため、虫歯や歯周病の予防になる歯列矯正を行って、将来の医療費を削減しようという意識が高いのです。こうした公的な保険制度の違いも、意識の違いを生んでいます。
海外の方は見た目を重視して歯列矯正をしているように思いがちですが、実はそれだけではないことがわかっていただけたと思います。
「日本人は皆礼儀正しく、ちゃんと教育を受けているのに、なんで歯並びに関してはあんなに無頓着なのか不思議!」と、海外から不評な日本人の歯並び・・・。なぜでしょうか?
日本人の骨格って?どんな顔?少し詳しく掘り下げていきましょう。
硬い食べ物を食べていた縄文時代の日本人は、顎の筋肉が発達し、顔の骨格も厚くて頑丈だったため、顔が大きかったと考えられています。
一方、柔らかい食べ物が中心の現代の日本人は、顎の筋肉や歯を支える骨(歯槽骨=しそうこつ)が退化して縮み、細長い顔の人が増えていると言われています。
歯槽骨が退化して縮むということは、その分だけ歯が並ぶスペースが狭くなるということです。
結果として、まっすぐに生えてくることができない歯が出てしまい、八重歯や出っ歯といったように、歯並びに影響してしまうケースが多くあるようです。
また、日本人は昔から女性は笑うとき、口元に手を当てて控えめに笑うことが上品であり、男性は歯を見せてニコニコしているよりも、口を閉じキリッとしていることが求められていました。口を大きく開けたりする機会があまりなく、このような文化が歯並びに対する意識を低くする原因なのかもしれません。
日本人は八重歯が多い?
もともと日本人は、アジア人の中でも八重歯になりやすい傾向にあります。潜在的に多いため、八重歯に対する抵抗感がなく、むしろ「可愛げがあっていい」と重歯を肯定的に捉える人も少なくありません。しかし欧米ではなかなか見られない歯列で、八重歯がドラキュラを想起させ、イメージが良くないというケースもあります。文化の違いによって、八重歯の捉え方は180°違うのです。
装置装着に対するネガティブイメージ
歯列矯正には装置を装着する必要があります。見た目が悪い、痛みがあるのはイヤだなどの理由で、日本人は海外の方よりも歯列矯正の治療に対してネガティブなイメージを持っているようです。一方、アメリカの人に歯列矯正についてのイメージを尋ねると、歯列矯正ができることは「嬉しい」こととの回答が多数を占めるといいます。歯列矯正のイメージの違いから、日本人は治療そのものが足かせとなり、なかなか歯列矯正の文化が広まらないのです。
世界の歯列矯正、皆様いかがだったでしょうか。
イメージが変わった方、興味がわいた方、ぜひ検討してみてください。